似顔絵楽座(席描き日本一を決める大会)で思った。大会も組織も評価制度が文化を作る。


ちょっと前になっちゃいましたが、名古屋の似顔絵楽座に行ってきました。似顔絵師の紹介はシゴトカンでしてるので、今回の記事では似顔絵師の紹介は意識的に控えました。イベントレポートとして紹介します。

似顔絵楽座とは

似顔絵楽座は似顔絵の大会です。そもそも、似顔絵の大会なんてあるの?っていう人がほとんどだと思うので、簡単に解説すると。似顔絵には日本大会(似顔絵楽座)と世界大会(ISCA)があって、日本大会はお客様が審査員で、世界大会は、似顔絵師が審査員です。審査員が違うので、当然大会の趣旨は大きく違います。

この似顔絵楽座がとにかく分かりにくい。サイトも分かりにくいし、ルールも分かりにくい。行ってやっと分かったので、知らない人にも分かるように解説したいと思います。「似顔絵楽座」は名古屋で開催されていて、基本的に席描き(対面して似顔絵を描くこと)の人数を競う大会です。

つまり、たくさんお客様を獲得した人が優勝する大会なんです。約70人がエントリーして、書類選考を通過した34名が当日それぞれブースをかまえて、土日の2日間でお客様の数を競います。

竜王賞、S1大賞とは?

似顔絵楽座には、「竜王賞」、「S1大賞」があります。これまた分かりにくい(笑)。土日でお客さんの数を競いあうのが「竜王賞」。「S1大賞」は有名人の似顔絵を募集して、それを張り出して、審査員や一般の人が投票して優勝を決める(らしい)。

たぶん一般の人には分からないと思う。ラベルが分かりにくいし、知らない人に向けて説明がなされてないから。ほんとにもったいないです。

竜王賞のルール

ショッピングセンターの広場みたいなところでやってて、入場は無料、描いてもらいたい場合はチケットを買います。1枚700円、3枚で1500円です。これは相場よりかなり安い。チケットを買わずに、その場をウロウロして、見て回っても面白いと思います。

たくさんお客様を獲得するためには、他の人より人気がないといけない。でも、お客さんがたくさん来たら、列が出来る。だから早く描かないといけない。

投票する

描いてもらったお客様は、似顔絵が気に入った場合は、投票することができます。それがポイントととして加算されます。あと、審査員も一般のお客様に紛れて描いてもらってるようです。

つまり、営業力とスピードと顧客満足度を満たさないといけないわけです。

ルールとしてはいいと思います。人気がある人は、すごい列ができていて、テーマパークのアトラクションのようになってます。1時間待ちですー、とか。

会場の様子

そんなルールなわけですから、目立ったほうがいいです。

その結果、こんなことになるんですね。
コスプレしてる人がいるんです(笑)。初めて見たのでビックリしました。

似顔絵ヒーロー エガオ

仮面ライダーみたいな人がいる(笑)。似顔絵を描くヒーロー、エガオーというそうです。

ドラゴンキング

鬼もいるし(笑)。子供がビビってました。ドラゴンキングさん。

似顔絵ヒーロー エガオピンク

ずっと歩いてると、また仮面ライダーみたいなんがいた!さっきの母でエガオーピンクというそうです(笑)。

僕も3人の方に描いてもらいました。描いてもらいながら、いろいろ話を聞いたんですが、驚くことに、この日だけ描き方を変える人がチラホラいるんですね。タッチを変えてみたり、スピード重視にしてみたり、みんな優勝するためにいろんな工夫をしてるんですね。
(描いてもらった似顔絵を紹介したいのですが、3人だけ紹介するのは他の人に悪い気がして今回は掲載するの止めときます。残念ですが。)

その後の講演

初日の競技夜には、エントリーしてる似顔絵師の前で、中村剛さんと一緒に対談というカタチで講演をさせていただきました。もともとは中村さんに僕がインタビューをしたことがキッカケでこの大会に呼んでいただいたんです。特に事前の打ち合わせもなかったので、中村さんの伝えたいことを話すために僕がパスするという感じで話しました。

マジシャン登場

30分ぐらい話した後に、マジシャンが登場!テンションが高いオヤジが入ってきて、会場を巻き込みながらゆるーいマジックをやるんです。これが面白かった。

盛り上がったところで、明日も似顔絵を頑張ってください、と言って去って行ったんですが、しばらくして、スーツに着替えてまた部屋に入ってきたんです。実はこの方は、名古屋の「幻の手羽先」世界の山ちゃんの山本会長。

世界の山ちゃんはお店のロゴに似顔絵を使っているので、ゲストで呼んでいたんです。ここから、中村さんと山本会長の対談で、ブランディングにおける似顔絵の優位性の話が始まります。自衛隊の給食係だった山本さんが、なぜ手羽先の店を始めたのか、なぜ、似顔絵を使ったのか。など興味深い話が聞けました。ちなみに、世界の山ちゃんでは、従業員全員が手品ができるよう教育中だそうです(笑)

その後、みんなで世界の山ちゃんに飲みに行きました。行ってビックリ。結構僕のことを知ってる人が多かったです。すごいぞ!ウェブサイトの力!

似顔絵トークに花が咲きました(笑)。

特別審査員の江川達也さん

2日目の特別審査員には漫画家の江川達也さんが来て、トークセッションもしてました。似顔絵師が描いた江川さんの似顔絵が貼られています。

名古屋出身の漫画家の江川達也さん

そのときに、江川さんが気に入った似顔絵が、すごく面白かったです。

どれも太ってるなあと呟いて、選んだ似顔絵は、地図を見てて、あまり太ってない似顔絵だったんです。彼は地図コレクターなんですね。漫画家は画力で選ぶと思いきや、一般の目線で選んだんです。似てる似てないという次元でなかったように感じます。描き手のコダワリと一般の人の求めるモノのズレ、これが似顔絵をビジネスにするのに一番難しくしてるポイントのように改めて感じました。

その後、ホワイトボードが出てきて、聞いてないよと、ぶーぶー言いながら似顔絵を描いてました。当然ですが、上手でしたw。

そんな感じで大会終了

審査発表があって、記念撮影。

似顔絵楽座2012年

全体的に、とても面白かった。いろんな人に出会えたし、いろんな話ができた。けど、いろいろ思うところがあるわけです(笑)。実はここからが書きたいことなんですw。

感じた違和感

似顔絵師のコミュニティは熱量がすごくて、仲間意識もある、前向きだし、すごくいいコミュニティだと思う。だけど、僕がいつも思うのは、知らない人に分かりにくい。自分たちの当たり前が当たり前すぎて、興味ない人に伝えることができていない。悪気はないと思います。熱量が強すぎるとこうなっちゃうんだと思う。

たとえば、

  • 大会名が分かりにくい。「似顔絵楽座」「竜王賞」「S1大賞」最初全然分からなかった。
  • 入場料がいらないと明記されてない。
  • 大会ルールが分かりにくい。
  • 場所が分かりにくい。会場の地図はあったほうがいい。オアシス21と言われても分からない。
  • 行く前に詳細が分からない。Facebookとウェブサイトに情報が点在している。
  • すべての情報が似顔絵師のために向けられていて、一般のお客様に向けられていない。
  • 結果発表に根拠がない。描いた人数とかね。
  • 入賞が多すぎる。34人に対して、審査員特別賞を入れると8人ぐらい入選してた印象

ものすごーく僕の個人的な意見なので、反対意見があって当然だと思うけど、こういうのが違和感でした。このイベントは広げたいのかな、それとも仲間内でこじんまりしたいのかな。そういうのが分からなかった。

たぶん、それぞれに理由はあると思うし、ちゃんと考えた結果だと思う。時間やお金の制約もあるでしょう。だけど、分かりやすく伝えることは、伝えようと思えばできると思う。

僕ならこうする。

帰りの新幹線で思ったわけです。僕ならこのイベントの目的をこうします。こういうの考えるの好きなもんで(笑)。1.似顔絵師のステイタス向上。2.市場認知に貢献した人を評価する大会。

そのために、いろいろ変える。まず、優勝賞金が21万って微妙でしょ。日本一なら最低でも100万に設定して、副賞などは一切廃止。チャンピオンのみ評価されるようにする。

できれば500万ぐらいにして、ここで優勝したら1年は食べて行けますっていうほうが夢がある。

ルールも少し変える。似顔絵を描いてもらうときにチケットを渡すけど、このチケットは2つに切り離せるようにする。受け取った似顔絵師は両方にサインして、半分受け取って、半分をお客様に返す。描いてもらったお客様はこの時の似顔絵が気に入ったら、投票ボックスに入れる。気に入らなかったら×をつけて投票する。投票しなくてもよい。

描いた似顔絵の枚数は公開する、1枚描いたら2ポイント、お客様が気に入って投票した数も公開する、これも1枚2ポイント。×がついてたらマイナス1ポイント。描いた数より顧客満足度を重要視する。今は「顧客満足度=描いた人数」として評価してるけど、満足度は描いてもらった後に出るものだから、今のルールでは満足度をあまり汲み取れてないと思う。ちなみに、描いた人数や投票数は初日が終わった時点で途中経過として公開する。

このルールにしたら、スピードが遅いけど、満足度が高い人とフェアになる。今のルールではスピード重視すぎる。

それから、審査委員も誰に投票したのかちゃんと公開する。

こんな感じのルールにします。重要なのは評価ルールの透明性と公平性。これは組織を作るときも同じ。人が競争する状況では一番重要。評価制度が文化を作る。これがブラックボックスになってくると、面白くなくなってくる。

そんなことを妄想しながら、帰ったのでした。たぶん、こういう意見って求められてないんだろうなあと思いつつ、叩かれるなり、反応ないなり、それを感じてみたくで書いた(笑)。なんかね、モノ作りしてると、次は場作りとかしたくなってくるから不思議ですね。

もっともっといいイベントになって欲しいし、きっとできると思います!

今回の名古屋の2日は、名古屋でポットキャストしてるやすやすさんにも初めて会いました。似顔絵の飲み会が終わって、23時30分ぐらいから合流して、朝まで飲んでました(笑)。とてもたくさんの人に出会えて楽しかった。感謝!

(4月14日、15日の出来事)

“似顔絵楽座(席描き日本一を決める大会)で思った。大会も組織も評価制度が文化を作る。” への8件の返信

  1. このように第三者が意見を言うことはとても有意義なことだと思います。主催している人たちにとっても外部の意見はありがたいと思います。
    それを踏まえて、私の思ったことをひとつふたつ。

    ●すべての人が満足する評価基準というものはたぶん存在しない。重要なのは明確にすること。なんの大会であってなんの大会でないかを明言する。その結果速描き大会になったとしてもそれはそれでよい。
    ●賞の数が多すぎると中谷さんは言うけれど、私はこのくらいあってもいいと思う。参加人数に対する賞の数でいったらISCAのほうがたぶん多い。似顔絵を本業としている人にとって、大きな大会での受賞歴は、仕事を取る上で役に立つ。フリーの人は特に。それに傾奇者賞狙いの人とかがいたほうが大会が華やかになって楽しいじゃないですか。

    最後に、冒頭の「似顔絵には日本大会(似顔絵楽座)と世界大会(ISCA)があって……」という文章は、似顔絵に予備知識のない人にとっては誤解を招きかねない表現だと思います。似顔絵楽座とISCAとは何のつながりもありません。ルールが違うのは、違う人が(たぶん)違う目的でやっているからであって、世界とか日本とかそういう違いではない。現にISCA的ルールの大会も日本で何度も開かれている。私が書くとしたらこう書きます(長くなりますが、これ以上簡潔にはできません)。

    似顔絵の大会には、私の知る限り、大きく分けて3種類ある。一番目は参加者が好きな時間に好きな場所で描いた似顔絵を投稿し、その作品を観客あるいは審査員が評価して順位をつけるもの。二番目は、参加者が決められた場所で決められた場所でお互いを描き合い、最後にこれまた参加者が投票して順位をつけるもの。三番目は、参加者が決められた場所で決められた時間内に一般のお客様を描き、それをお客様が評価して順位をつけるもの。似顔絵楽座は三番目に当たる「竜王賞」と、一番目に当たる「S1大賞」とからなる。

  2. ちばさん!コメントありがとうございます!

    この手の話は正解があるわけじゃなく、議論することが重要と思っていますので、コメントいただけてとても嬉しいですw。

    以下、僕の意見を書きますね。

    おっしゃるように、全員が満足する評価基準はないです。会社組織でも同じですね。明確することが何より重要というのは完全同意です。それがまず第一歩。で、一般の人が評価する大会ならば、スピード重視より、バランスがよい人が評価されるべきだと考えています。

    受賞がシゴトを取る上で役立ってるなら、もっと受賞者を増やしてもいいと思います。ただ、それは長い目で見て、業界の底上げや普及には繋がらないと思っています。僕は、似顔絵師の地位向上と、業界をもっと認知してもらうためにすべての事柄を考えています。大会のために描き方を変えてもいいと思います。コスプレもいいと思います。でも、それは顧客キャッチのための思索であって、顧客満足度に繋がるかは分かりません。結局、席描きであれば、トークや似顔絵の腕が評価されるべきと考えています。つまり、書き終わったときに評価される仕組みが必要だと。

    最後に大会についてですが、細かく言及すると違う部分があることは理解してます。僕は似顔絵の予備知識のない人に分かりやすく、興味持ってもらうことを重視してますので簡略化してます。
    そういう意味で、世界大会(ISCA)は審査員は似顔絵師、日本大会(似顔絵楽座)は審査員は一般の人という表現が分かりやすいと思っています。
    こういう話をすると、へえー、そんな大会があるんだってみんな驚きます。

    誤解を招く表現は避けたいと考えていますが、知らない人に興味持ってもらうことを何より重視していてることをご理解いただければと思います。

    今回の記事は反応ないと思っていたので、反応していただけて嬉しいですw。

    1. 大会の説明について、前のコメントを書いた時点では自分でもはっきりしていなかったのですが、「日本大会(似顔絵楽座)」という表現に違和感を感じていたのでした。つまりこれだと「似顔絵楽座」が日本の代表的な似顔絵の大会、あるいはひょっとしたら日本唯一の似顔絵の大会ととらえられてしまう可能性がある。日本にもいろいろなタイプの似顔絵の大会があって、「似顔絵楽座」はそのひとつなのだよ、ということがハッキリわかる表現であったらよかったなと思います。

      1. なるほど。ちばさんが気持ち悪い部分が理解できましたし、業界のみなさんのコダワリを感じることができました。ありがとうございます。

  3. そうですね。今の似顔絵楽市楽座の方法では「安かろう早かろう悪かろう」になってしまう危険性はありますよね。

    似顔絵楽市楽座の根底にあるコンセプトというか、発案者(似顔絵師さんnotNさん)の心の根底に「ISCAでの似顔絵師投票制では勝てないので、お客さんに決めてもらう大会=自分が勝てるような大会作りがしたい」というのがあったらしいので、このようないびつな姿を呈しているのだと思います。

    つまり、お客さんが決定するけど、実は似顔絵師による似顔絵師の為の大会だったというわけなのです。
    絵が下手でも人気があれば勝てるようなしくみになったというわけなのです。
    (例;アシスタントに芸能人やってる友達を連れて来た似顔絵師が2回連続で優勝した←その後アシスタント制は廃止)

    似顔絵ファンとしてはちょっと悲しい舞台裏ですよね。。。

    ただ、その発案者さんは今の運営には関わっていないそうなので、これから少しずつでも公平性を持った良い大会に変わっていくのではないでしょうか?
    今後に期待ですね。

    1. へえ、本当かどうか分からないですが、世の中のランキングや大会すべてに政治的な要素はあったりするから、あってもおかしくないですね。

      過去の経緯はいろいろあると思いますが、非常に可能性のある面白いイベントなので、今後に期待したいと思います!

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